相続不動産の名義変更は何から始める?相続登記の期限・手順・必要書類を解説
相続手続き
2026.08.26
親や配偶者が亡くなり、土地や建物を相続することになったものの、「名義変更は何から始めればよいのか」「いつまでに行う必要があるのか」と迷う方は少なくありません。
相続によって不動産を取得しても、法務局の登記名義が自動的に相続人へ変わるわけではありません。不動産の登記名義を亡くなった方から相続人へ変更するには、法務局で相続登記を行う必要があります。
また、相続登記は2024年4月1日から義務化されました。原則として、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象になるため、以前から名義変更をしていない不動産がある方も注意が必要です。
この記事では、相続不動産の名義変更について、最初に確認すること、申請期限、必要書類、費用、手続きの流れを初心者向けに解説します。
- 相続不動産の名義変更とは
- 名義変更をしないとどうなる?
- 相続登記を進める5つの手順
- 相続登記の必要書類と費用の目安
- 相続登記は自分でできる?
- 相続不動産の名義変更に関するFAQ
- 不動産・相続人・取得者を確認し、期限内に名義変更を進めよう
本記事の結論
相続不動産の名義変更では、いきなり戸籍や住民票を集めるのではなく、最初に次の3点を確認しましょう。
① 対象となる不動産と現在の登記名義人
② 遺言書・法定相続人・不動産を取得する人
③ 相続登記の期限と売却・相続税申告などの今後の予定
この3点を整理すると、必要書類や申請方法、専門家へ相談すべきかを判断しやすくなります。
| 最初に確認すること | 主な確認資料 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 対象不動産と現在の名義人 | 固定資産税の課税明細書、登記事項証明書、権利証など | 登記する土地・建物を特定するため |
| 遺言書・相続人・取得者 | 遺言書、戸籍、家族関係のメモ | 必要書類や申請人が変わるため |
| 手続きの期限 | 相続開始日、取得を知った日、遺産分割成立日 | 期限超過や売却の遅れを防ぐため |
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相続税の申告が必要な場合は、相続登記とは別に、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税しなければなりません。相続税の申告が必要か分からない場合は、国税庁「相続税の申告と納税」も確認しましょう。
相続不動産の名義変更(相続登記)とは

相続不動産の名義変更とは、亡くなった方の名義になっている土地や建物を、相続人名義へ変更する手続きです。法務局で行うこの手続きが「相続登記」です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されました。期限内に通常の相続登記が難しいときは、相続人申告登記を利用できる場合があります。
相続による不動産の名義変更は「相続登記」のこと
親などが所有していた不動産を相続した場合、相続人は相続開始によって権利を承継します。しかし、相続が発生しただけでは、法務局の登記記録は自動的に変更されません。
登記記録上の所有者を亡くなった方から相続人へ変更するには、不動産所在地を管轄する法務局へ相続登記を申請します。
手続きの基本的な流れは次のとおりです。
相続発生 → 遺言書・相続人の確認 → 不動産を取得する人の決定 → 相続登記 → 登記名義の変更
なお、「相続登記をしなければ相続人が不動産の権利を取得できない」という意味ではありません。相続による権利の承継と、登記記録を変更して所有者を公示することは、分けて考える必要があります。
相続登記の申請方法や取得方法別の手続きは、法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」で確認できます。
相続登記は2024年4月から義務化|期限は原則3年
2024年4月1日から、相続によって不動産を取得した相続人には、相続登記の申請が義務付けられています。
基本となる期限は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内です。単純に「死亡日から3年以内」とは限らない点に注意しましょう。
法務省「相続登記の申請義務化について」に基づく主な期限は、次のとおりです。
| ケース | 原則的な期限 |
|---|---|
| 相続によって不動産を取得したことを知った場合 | 取得したことを知った日から3年以内 |
| 2024年4月1日以降に遺産分割が成立し、 不動産を取得した場合 | 遺産分割が成立した日から3年以内 |
| 2024年4月1日より前に不動産を相続で取得したことを知っており、 相続登記をしていない場合 | 原則として2027年3月31日まで |
| 2024年4月1日以降に、 過去の相続による取得を知った場合 | 取得を知った日から3年以内 |
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2024年4月1日より前に相続が発生し、制度開始前から不動産の取得を知っていた場合、2027年3月31日が最短の申請期限です。
過去に相続した実家や土地が亡くなった親・祖父母名義のままになっている場合は、登記事項証明書で現在の名義を確認しましょう。
遺産分割がまとまらない場合は相続人申告登記を検討する
相続人が多い、連絡が取れない相続人がいる、遺産分割協議がまとまらないなどの事情により、3年以内に通常の相続登記を行えないことがあります。
このような場合は、期限内に相続人申告登記の申出を行うことで、申出をした相続人について相続登記の基本的な申請義務を履行できます。
相続人申告登記とは、登記名義人が亡くなったことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出る制度です。
特定の相続人が単独で申し出ることができ、他の相続人の分も含めて代理で申し出ることも可能です。代理で申し出る場合は委任状が必要になります。
申出について登録免許税はかかりません。
自分の分だけを単独で申し出た場合、申請義務を履行したものとみなされるのは、その申出人についてのみです。相続人全員について義務を履行するには、全員を申出人として手続きする必要があります。
| 比較項目 | 通常の相続登記 | 相続人申告登記 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 不動産を取得した人と持分を登記する | 相続登記の申請義務を簡易に履行する |
| 単独での手続き | 取得方法によって異なる | 単独申出可。 委任状があれば、他の相続人の分を代理で申し出ることも可能 |
| 登録免許税 | 原則として必要 | かからない |
| 所有権・持分の公示 | できる | できない |
| 売却の前提となる登記 | なり得る | これだけでは足りない |
| 遺産分割成立後の手続き | 遺産分割の内容を反映した登記であれば原則追加不要。 法定相続分で登記した後に遺産分割が成立した場合は、 成立日から3年以内に内容を反映する登記が必要 | 遺産分割成立日から3年以内に、 内容を反映する相続登記が必要 |
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相続人申告登記は、通常の相続登記の代わりに名義変更を完了させる制度ではありません。遺産分割が成立した場合は、原則として成立日から3年以内に、その内容を反映した相続登記を行います。
詳しい条件は、法務省「相続人申告登記について」で確認できます。
関連記事:相続人申告登記
相続不動産の名義変更をしないとどうなる?

相続登記を放置すると、過料の対象となる可能性があるだけでなく、不動産の売却や次の相続にも影響します。
時間がたつほど相続人が増え、必要な戸籍や合意形成の負担が大きくなるケースもあります。
相続登記を早めに進めるべき理由は、過料の対象となる可能性があることだけではありません。
将来の売却や管理をスムーズにするためにも、早めに手続きを進めることが重要です。
正当な理由なく期限を過ぎると過料の対象になる可能性がある
相続登記を正当な理由なく期限内に申請しなかった場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
ただし、期限を過ぎた時点で自動的に過料が科されるわけではなく、必ず10万円を支払うわけでもありません。また、過料は刑事罰である「罰金」とは異なります。
期限を過ぎた後でも相続登記の申請は可能です。未登記のまま放置せず、できるだけ早く手続きを進めましょう。事情が複雑な場合は、法務局や司法書士へ相談することをおすすめします。
関連記事:札幌 相続登記 相談
不動産を売却・担保設定する際に相続登記が必要になる
亡くなった方の名義のままでは、相続人から買主への所有権移転登記をそのまま行うことはできません。
そのため、相続不動産を売却して買主へ名義を移すには、先に相続登記を済ませる必要があります。
相続登記前でも、不動産会社へ査定を依頼したり、売却方法を相談したりすることは可能です。
ただし、相続人や不動産の取得者が確定していなければ、売買契約を締結しても手続きが止まったり、トラブルが発生したりするおそれがあります。
売却予定がある場合は、次の順番を意識しましょう。
① 不動産の査定・売却相談
② 遺言書・相続人の確認
③ 不動産を取得する人の決定
④ 相続登記
⑤ 売買契約・決済・買主への所有権移転登記
日本司法書士会連合会の相続登記に関する案内でも、相続登記をしていない不動産は売却できず、長期間放置すると相続関係が複雑になるリスクが示されています。
次の相続が発生すると相続人が増え、手続きが複雑になる
相続登記をしないまま相続人が死亡すると、複数回の相続が連続して発生する「数次相続」となる場合があります。
例えば、祖父名義の土地について相続登記をしないまま父が死亡すると、祖父の相続人だけでなく、父の相続人も手続きに関係する可能性があります。
数次相続では、次のような負担が生じやすくなります。
・関係する相続人が増える
・相続人の一部が遠方や海外に住んでいる
・古い戸籍をさかのぼって集める必要がある
・過去に遺産分割が行われたか確認しなければならない
・疎遠な親族を含めた合意が必要になる
・登記申請の順番が複雑になる
登記名義が祖父母など前の世代のままの場合は、相続関係や必要書類が複雑になることがあります。早めに司法書士へ相談しましょう。
相続登記を進める5つの手順

相続登記は、不動産の確認、相続人の確認、取得者の決定、必要書類の準備、法務局への申請という順番で進めます。
最初からすべての書類を集めようとせず、各段階で確定させる内容を整理することが大切です。
全体の流れは次のとおりです。
| 行うこと | この段階で確定させるもの |
|---|---|
| ① 不動産と登記内容を調べる | 対象となる土地・建物 |
| ② 遺言書と相続人を調べる | 手続きに関与する相続人 |
| ③ 不動産の取得者を決める | 取得者・持分・取得根拠 |
| ④ 書類と費用を準備する | 申請書・添付書類・登録免許税 |
| ⑤ 法務局へ申請する | 新しい登記名義 |
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1.対象不動産と現在の登記名義・権利関係を確認する
最初に行うのは、相続対象となる土地・建物と、現在の登記名義人を確認することです。
住所だけでは、登記上の土地や建物を正確に特定できない場合があります。次の項目を整理しましょう。
・土地の所在・地番
・建物の所在・家屋番号
・土地と建物の登記名義人
・共有持分
・固定資産税評価額
・抵当権などの登記
・私道や共有地の持分
・未登記の建物がないか
・売却・利用・解体などの今後の予定
確認に使える主な資料は次のとおりです。
| 資料 | 主に確認できること | 注意点 |
|---|---|---|
| 固定資産税納税通知書・課税明細書 | 課税対象となっている不動産、評価額 | 登記名義人と納税義務者が一致しない場合がある |
| 登記事項証明書 | 登記名義人、地番、家屋番号、持分、抵当権など | 最新の登記内容を確認する |
| 権利証・登記識別情報通知 | 不動産の情報、過去の登記 | 相続登記の標準的な必須添付書類とは限らない |
| 名寄帳 | 市区町村内で課税されている不動産 | 自治体ごとに取得方法や掲載範囲が異なる |
| 売買契約書・測量図など | 取得経緯、境界、面積など | 登記記録と内容が異なる場合がある |
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2026年2月2日からは、特定の人が登記名義人となっている不動産を一覧的に確認できる所有不動産記録証明制度が始まりました。亡くなった方の不動産を把握できない場合、相続人が調査に利用できます。
ただし、法務省「所有不動産記録証明制度について」によると、氏名・住所などで検索する仕組みのため、検索結果の網羅性・正確性には限界があります。
登記上の住所と検索条件が一致しない不動産や、所有権の登記がない不動産などは抽出されない場合があるため注意しましょう。
関連記事:札幌 相続した不動産 どうする
2.遺言書の有無と法定相続人を確認する
次に、遺言書の有無と、相続手続きに関与する法定相続人を確認します。
遺言書がある場合は、原則としてその内容に沿って相続手続きを進めます。遺言書がない場合や、遺言書に記載されていない不動産がある場合は、相続人全員による遺産分割協議が必要になることがあります。
自宅などで遺言書を発見した場合、封筒に入っている遺言書は開封しないようにしましょう。
自筆で書かれた遺言書は、原則として家庭裁判所の検認が必要です。
検認は遺言書の有効・無効を判断する手続きではなく、遺言書の状態や内容を記録し、偽造・変造を防ぐための手続きです。詳しくは、裁判所の「遺言書の検認」を確認してください。
相続人を確定するには、原則として次の戸籍などを確認します。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍
・相続人の現在戸籍
・既に亡くなっている相続人がいる場合のその者の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍
・被相続人と登記名義人が同一人物であることを確認する住所関係書類(除票や戸籍の附票など)
具体的な戸籍の範囲は、配偶者と子が相続する場合、兄弟姉妹が相続する場合、代襲相続がある場合などで異なります。
また、遺言による相続登記では、必要となる戸籍の範囲が遺産分割協議や法定相続分による登記と異なる場合があります。
3.相続方法を確認し、不動産を取得する人を決める
相続人を確認した後は、誰が、どのような根拠で不動産を取得するかを確定します。
主な取得方法は次のとおりです。
| 取得方法 | 概要 | 主な確認書類 |
|---|---|---|
| 遺言書による取得(相続人の場合) | 遺言書で指定された相続人が取得する | 遺言書、必要に応じて検認済証明書など |
| 遺産分割協議による相続 | 相続人全員の話し合いで取得者を決める | 遺産分割協議書、印鑑証明書など |
| 法定相続分による相続 | 法律で定められた割合で相続する | 戸籍、住民票など |
| 調停・審判による取得 | 家庭裁判所の手続きで取得者を決める | 調停調書、審判書、確定証明書など |
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遺産分割協議を行う場合は、相続人全員が参加し、合意内容を遺産分割協議書にまとめます。相続人の一部を除外し、作成することはできません。
不動産を複数人の共有名義にすることも可能ですが、将来の売却や大規模修繕、賃貸などで共有者間の合意が必要になる場合があります。
共有名義を一律に避けるべきとはいえないものの、今後の利用方法まで考えて決めることが大切です。
なお、遺言書によって相続人以外の人が不動産を取得する場合は、「相続」ではなく「遺贈」を原因とする登記になります。必要書類や申請人、税金関係にも影響がでますので、個別に確認しましょう。
4.必要書類・登記申請書・登録免許税を準備する
取得者と取得方法が決まったら、相続方法に合った添付書類と登記申請書を準備します。
必要書類は、遺産分割協議・法定相続分・遺言など、どのような根拠で不動産を取得するかによって異なります。
遺産分割協議や法定相続分による相続登記では、一般に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等によって法定相続人を確認します。
一方、遺言書による相続登記では、必要な戸籍の範囲が異なる場合があります。
主な書類は次のとおりです。
・戸籍関係書類(必要な範囲は遺言書の内容によって異なる)
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・取得者の戸籍謄本(取得者が法定相続人の場合)
・取得者の住民票
・固定資産税評価額を確認できる資料
・遺言書
必要書類は相続方法や登記内容によって異なります。登記上の住所と死亡時の住所がつながらない場合などには、追加資料を求められる可能性があります。
申請書は古いひな形を流用せず、法務局「不動産登記の申請書様式について」から最新の様式を確認しましょう。
また、2025年4月21日以降、国内に住所を有する個人が申請人として、所有権の保存・移転などの登記を申請する場合は、原則として氏名、氏名のふりがな、住所、生年月日、メールアドレスの検索用情報を申請情報に含める必要があります。
法人、海外居住者(他に必要となる手続きが発生します)、登記の申請人ではない人は、登記申請と同時に行う申出の対象外です。詳しくは、法務省「検索用情報の申出について」を確認してください。
5.管轄法務局へ申請し、登記完了を確認する
書類がそろったら、不動産の所在地を管轄する法務局へ相続登記を申請します。
相続人の住所地を管轄する法務局ではない点に注意しましょう。不動産が複数の都道府県や法務局管轄に分かれている場合は、申請先も複数になる可能性があります。
申請方法には次の3つがあります。
| 申請方法 | 特徴 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 法務局の窓口 | 申請書と添付書類を直接提出する | 開庁時間や管轄を確認する |
| 郵送 | 法務局へ申請書類を郵送する | 到着日が申請日となる |
| オンライン | 申請用ソフト等を使用する | 電子署名や添付書類の扱いを確認する |
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法務局へ郵送する場合、申請書が登記所へ到着した日が申請日になります。
登記が完了したら、登記完了証や登記識別情報通知を受領します。必要に応じて登記事項証明書を取得し、次の内容を確認しましょう。
・所有者の氏名・住所→取得者に相違がないか
・不動産の表示→申請が漏れた不動産がないか
・共有持分(共有で取得した場合)→持分比率に相違がないか
登記識別情報通知は、いわゆる権利証に該当する重要な書面です。第三者に取られたり、封の中を見られないよう、適切に保管しましょう。
相続登記の必要書類と費用の目安

相続登記の必要書類は、遺言・遺産分割協議・法定相続分など、取得方法によって変わります。
費用は、主に登録免許税、戸籍などの取得費、司法書士へ依頼する場合の報酬に分けて考えましょう。
ここでは全体像に留め、書類の取得方法や詳細な費用計算は関連記事で解説します。
必要書類は遺言・遺産分割・法定相続分で変わる
相続登記では、共通して必要になりやすい書類に加え、不動産を取得する根拠を証明する書類が必要です。
| 相続方法 | 主な共通書類 | 主な追加書類 |
|---|---|---|
| 遺産分割協議 | 戸籍、住所関係書類、取得者の住民票など | 遺産分割協議書、相続人の印鑑証明書 |
| 遺言による取得(相続人の場合) | 必要な範囲の戸籍、住所関係書類、取得者の住民票など | 遺言書、必要に応じて検認済証明書 |
| 法定相続分 | 戸籍、住所関係書類、各相続人の住民票など | 原則として遺産分割協議書は不要 |
| 調停・審判 | 取得者の戸籍・住民票、住所関係書類など | 調停調書、審判書、確定証明書など |
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この表は一般的な例です。数次相続、代襲相続、海外在住者、未成年者、登記上の住所がつながらないケースなどでは、追加書類が必要になることがあります。
また、登記事項証明書や権利証は、不動産の情報を確認するために役立ちますが、通常の相続登記で常に提出する標準的な添付書類とは限りません。
登録免許税は原則「固定資産税評価額×0.4%」
相続による所有権移転登記では、原則として固定資産税評価額の0.4%に相当する登録免許税がかかります。
市場での売却価格や不動産会社の査定額ではなく、原則として固定資産課税台帳に登録された価格を基準にします。
国税庁「登録免許税の税額表」でも、相続による土地・建物の所有権移転登記の税率は0.4%されています。
例えば、固定資産税評価額が2,000万円の場合、単純計算では次の金額です。
2,000万円×0.4%=8万円
実際の申請では、課税価格や税額の端数処理などの確認が必要です。
また、一定の土地については、2027年3月31日まで登録免許税の免税措置があります。
・相続で土地を取得した人が、相続登記をしないまま死亡した場合の一定の登記
・課税標準となる土地の価額が100万円以下である場合の一定の相続登記
免税措置はすべての土地・建物に適用されるわけではありません。要件を満たすか、法務局や司法書士へ確認しましょう。
書類取得費と司法書士報酬も見込んでおく
相続登記の費用は、登録免許税だけではありません。戸籍などの取得費、郵送料、司法書士へ依頼する場合の報酬も見込んでおきましょう。
| 費用項目 | 内容 | 金額が変わる主な要因 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 法務局へ納める税金 | 固定資産税評価額、免税措置の適用 |
| 戸籍等の取得費 | 戸籍、除籍、改製原戸籍など | 相続人の範囲、転籍回数 |
| 住所関係書類 | 住民票、住民票の除票、戸籍の附票など | 必要となる書類の種類 |
| 登記事項証明書 | 不動産の登記内容を確認する書類 | 不動産の数 |
| 郵送料・交通費 | 郵送請求、法務局への移動など | 不動産・相続人の所在地 |
| 司法書士報酬 | 戸籍収集、書類作成、申請代理など | 不動産数、相続人数、数次相続の有無 |
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司法書士報酬は全国一律ではありません。不動産の数、法務局の管轄数、相続人の人数、戸籍収集を依頼するかなどによって変わります。
依頼する際は、登録免許税などの実費と司法書士報酬を分けて確認し、追加費用が発生する条件も見積書で確認しましょう。
相続登記は自分でできる?専門家へ相談した方がよいケース

相続登記は、相続人本人が申請することも可能です。
一方、相続人や不動産の関係が複雑な場合は、書類収集や登記内容の判断に時間がかかるため、司法書士などへの相談を検討した方がよいでしょう。
重要なのは、本人申請と専門家への依頼のどちらが正しいかではなく、自分のケースの難易度を見極めることです。
自分で進めるメリット・注意点と向いているケース
自分で相続登記を行う主なメリットは、司法書士報酬を抑えられることです。
一方で、次の作業を自分で行う必要があります。
・不動産の調査
・戸籍の収集
・法定相続人の確認
・遺産分割協議書の準備
・登記申請書の作成
・登録免許税の計算
・法務局への申請
・不備があった場合の補正対応
次の条件に多く当てはまる場合は、本人申請を検討しやすいでしょう。
・登記名義人が今回亡くなった方と一致している
・相続人が配偶者と子など少人数である
・相続人全員と連絡が取れている
・遺言書がある、または遺産分割協議が成立している
・不動産の数が少ない
・不動産が同じ法務局の管轄内にある
・売却などの期限が迫っていない
・平日に役所や法務局とのやり取りができる
法務局では本人申請を検討している方向けの情報も公開されています。申請前に、法務局「登記申請を御自身ですることを検討されている方からよくある質問」を確認しましょう。
相続人や登記関係が複雑な場合は司法書士へ相談する
次のようなケースでは、不動産登記を専門とする司法書士へ早めに相談する方が進めやすいでしょう。
・登記名義が祖父母など前の世代のまま
・亡くなった方の不動産をすべて把握できない
・相続人の一部が既に死亡している
・相続人が多い
・相続人に行方不明者や海外在住者がいる
・相続人に未成年者がいる
・判断能力に不安のある相続人がいる
・登記上の住所と死亡時の住所がつながらない
・不動産が複数の法務局管轄にある
・売却や融資の期限が迫っている
・法務局から相続登記に関する通知が届いた
司法書士は、不動産登記や相続登記の申請代理などを扱う専門家です。
日本司法書士会連合会「司法書士の業務」でも、不動産登記や相続登記は司法書士の主要業務として示されています。
相談時には、手元にある範囲で次の資料を用意すると、状況を説明しやすくなります。
・固定資産税納税通知書・課税明細書
・登記事項証明書
・権利証・登記識別情報通知
・遺言書
・取得済みの戸籍
・家族関係を整理したメモ
・被相続人の死亡日
・売却や利用の予定
・法務局や自治体から届いた通知
相談先によって必要な資料は異なりますが、すべての書類がそろう前でも相談できる場合があります。何を取得すべきか分からない場合は、予約時に必要な持参資料を確認するとよいでしょう。
相続人間の争いは弁護士、相続税は税理士に相談する
相続に関する相談先は、悩みの内容によって異なります。
| 主な相談内容 | 相談先の候補 |
|---|---|
| 相続登記、登記申請、戸籍収集 | 司法書士 |
| 遺産分割の争い、相続人との交渉、訴訟 | 弁護士 |
| 相続税申告、相続税額、売却時の税務 | 税理士 |
スワイプできます
相続人間で遺産分割の方法を巡る争いが起きている場合、司法書士が一方の代理人として相手方と交渉することはできません。紛争や交渉が必要な場合は、弁護士へ相談しましょう。
日本弁護士連合会「相続のご相談は、弁護士へ」でも、相続問題や遺産分割、遺言に関する相談先として、弁護士会の法律相談センターが示されています。
相続税の申告が必要か、どの特例を適用できるか、売却時にどのような税金がかかるかについては、税理士への相談が適しています。
相続不動産の名義変更に関するよくある質問

相続登記では、期限を過ぎた場合、権利証がない場合、売却予定がある場合などに疑問が生じやすくなります。
ここでは、迷いやすいポイントに結論から回答します。
期限を過ぎても相続登記できますか?
期限を過ぎても相続登記の申請は可能です。
3年の期限を過ぎたことによって、登記申請そのものができなくなるわけではありません。
ただし、正当な理由なく申請義務を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
未登記のまま放置せず、できるだけ早く申請準備を進めましょう。
権利証がなくても相続登記できますか?
権利証が見つからないことだけを理由に、通常の相続登記ができなくなるわけではありません。
亡くなった方の権利証や登記識別情報は、通常の相続登記で常に必要となる標準的な添付書類ではありません。
ただし、権利証は対象不動産の特定に役立ちます。
また、登記上の住所と死亡時の住所のつながりを証明できない場合などに、追加の確認資料として使用するケースもあります。見つかった場合は処分せず、保管しておきましょう。
固定資産税の通知が届いていれば名義変更は済んでいますか?
いいえ。固定資産税の納税通知書が届いていても、相続登記が完了しているとは限りません。
例えば、札幌市では、相続登記に時間がかかる場合、相続人などが「固定資産現所有者申告書」を提出します。ただし、この申告は相続登記の代わりにはなりません。
そのため、名義変更が済んでいるか分からない場合は、登記事項証明書で現在の名義を確認しましょう。
相続登記をしないまま不動産を売却できますか?
査定や売却相談はできますが、買主への所有権移転を完了するには、原則として相続登記が必要です。
売却予定がある場合は、不動産会社への相談と並行して、相続人の確認や遺産分割協議、相続登記の準備を進めましょう。
相続人間で売却方針が決まっていない場合は、誰が不動産を取得するかを先に決める必要があります。
相続不動産の名義変更にはどれくらいの期間がかかりますか?
必要な期間は、相続人や不動産の状況によって異なるため、一律にはいえませんが、状況が単純であっても1ヶ月程度かかると思った方が安全です。
また、被相続人、相続人の人数・複雑さによっては、半年以上の時間を要する場合もあります。
相続登記にかかる期間は、大きく次の2つに分かれます。
① 戸籍収集・遺産分割協議・申請書作成などの準備期間
② 法務局へ申請した後の審査期間
遺産分割が既に成立し、相続人が少ないケースと、数次相続や行方不明者がいるケースでは、準備期間が大きく異なります。
法務局への申請後の期間についても、管轄法務局や時期、申請内容、不備の有無によって変わります。各法務局が公表する最新の登記完了予定日を確認しましょう。
まとめ|不動産・相続人・取得者を確認し、期限内に名義変更を進めよう
相続不動産の名義変更では、対象不動産、現在の登記名義人、相続人、不動産の取得者、申請期限を順番に確認することが重要です。
最初に、次の3点を整理しましょう。
① 登記事項証明書などで不動産と現在の名義人を確認する
② 遺言書・法定相続人・不動産を取得する人を確認する
③ 原則3年の期限から逆算して相続登記を進める
相続登記は本人でも申請できますが、登記名義が祖父母のままになっている、相続人が多い、不動産を把握できない、売却期限が迫っているといった場合は、手続きが複雑になりやすい傾向があります。
すべての書類がそろう前でも相談できる場合があります。
何から確認すべきか分からないときは、手元にある固定資産税の課税明細書や権利証、家族関係のメモなどを用意し、司法書士などの専門家へ早めに相談しましょう。
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