相続人申告登記とは?メリット・デメリット、期限・必要書類・申出方法を解説
相続手続き
2026.08.28
相続人申告登記は、相続登記を期限内に行うことが難しい場合などに、相続が開始したことと自分が相続人であることを法務局へ申し出て、基本的な登記義務に対応する制度です。
ただし、申出をしても不動産の名義は変わりません。不動産を売却する場合や、遺産分割によって取得者が決まった場合は、別途、正式な相続登記が必要です。
この記事では、相続人申告登記を利用すべきケース、期限、必要書類、申出方法、申出後に必要な手続きまで、初めての方にもわかりやすく解説します。
この記事の結論
相続人申告登記は、正式な相続登記を期限内に行うことが難しい場合に利用できる制度です。
一方、名義変更そのものではないため、相続人申告登記をすれば相続不動産の手続きがすべて終わるわけではありません。
・正式な相続登記を進められる場合は、原則として相続登記を優先する
・遺産分割や書類収集に時間がかかり、期限に間に合わない場合は相続人申告登記を検討する
・相続人申告登記をしても、不動産の名義や相続持分は変更・登記されない
・2024年4月1日より前から、未登記の不動産を相続したことを知っていた場合、2027年3月31日が最短期限となる
・遺産分割成立後は、その日から3年以内に正式な相続登記が必要
・相続放棄を検討している場合は、相続人申告登記よりも原則3か月の相続放棄の期限を先に確認する
- 相続人申告登記とは?
- 相続人申告登記が必要かの判断基準
- 相続人申告登記の利点・注意点
- 期限は死亡日から一律3年ではない
- 故人名義の不動産と申出する相続人を整理
- 相続人申告登記のやり方
- 相続人申告登記後の必要な手続き
- 書類や判断が複雑になりやすいケース
- 相続人申告登記に関するよくある質問
- 正式な相続登記が間に合わない場合に相続人申告登記を検討する
相続人申告登記とは?2024年4月1日に始まった制度

相続人申告登記とは、登記記録上の所有者について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出る制度です。
期限内に申出を行うことで、申出人について相続登記の基本的な申請義務を履行したものとみなされます。ただし、不動産の権利関係を公示する登記ではありません。
相続登記の義務化と同じ2024年4月1日に始まった
相続人申告登記は、相続登記が義務化された2024年4月1日に始まりました。
相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、原則として、自分のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
一方、正式な相続登記では、戸籍等で相続関係を確認し、遺言・遺産分割・法定相続分など、登記の原因に応じた書類を整えなければなりません。
相続人が多い場合や遺産分割がまとまらない場合などは、期限内に相続登記まで進められないことがあります。
そこで、比較的簡易に基本的な申請義務を履行できる仕組みとして、相続人申告登記が設けられました。
法務省の「相続登記の申請義務化について」でも、相続登記の申請義務と相続人申告登記の関係を確認できます。
相続人申告登記と通常の相続登記は何が違う?
最大の違いは、「不動産の所有権を誰が取得したか」が登記されるかどうかです。
相続人申告登記をしても、不動産は亡くなった人の名義のままであり、申出人の所有権や持分は登記されません。
| 比較項目 | 相続人申告登記 | 正式な相続登記 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 基本的な相続登記義務への対応 | 相続による所有権の取得内容を登記へ反映 |
| 不動産の名義 | 亡くなった人の名義のまま | 不動産を取得した相続人等へ変更 |
| 所有権・持分 | 登記されない | 取得した権利・持分を登記 |
| 単独での対応 | 自分について単独で申出可能 | 遺言・遺産分割・法定相続分などによって異なる |
| 必要書類 | 申出人が相続人であることを示す書類が中心 | 相続関係や取得原因に応じた書類が必要 |
| 登録免許税 | かからない | 原則としてかかる |
| 売却・担保設定 | 相続人申告登記だけでは進められない | 権利関係を登記した後に進められる |
| 手続後 | 遺産分割成立後などは正式な相続登記が必要 | 相続による名義変更が完了する |
スワイプできます
相続人申告登記は権利関係を公示する制度ではないため、不動産を売却したり、抵当権を設定したりする場合には別途相続登記が必要です。
相続人申告登記が必要かは3つの確認で判断する

相続人申告登記を選ぶ前に、正式な相続登記まで進められないかを確認することが大切です。
取得者が決まり、必要書類も準備できる場合は、相続人申告登記を挟まずに相続登記を行う方が手続きを一度で終えられます。
一方、期限までに正式な登記が難しい場合は、相続人申告登記を検討しましょう。
① 亡くなった人名義の不動産が残っているか
② 不動産を取得する人が決まっているか
③ 相続登記の期限までに正式な手続きを完了できるか
亡くなった人名義の不動産が残っているか確認する
最初に、対象となる不動産と現在の登記名義を確認しましょう。
不動産を把握する資料としては、次のようなものがあります。
・固定資産税の納税通知書・課税明細書
・権利証・登記識別情報通知
・不動産購入時の売買契約書
・登記事項証明書
・その他家族が保管している不動産関係書類
固定資産税の課税明細書は、不動産を探す手掛かりになります。ただし、課税資料の記載と現在の登記内容が一致するとは限りません。最終的には登記事項証明書などで確認することが重要です。
また、土地と建物は別の不動産として登記されています。自宅について確認するときも、土地だけでなく建物の登記も確認しましょう。
不動産を取得する人が決まっているか確認する
遺言や遺産分割によって取得者が決まり、必要書類も準備できる場合は、原則として正式な相続登記を優先します。
たとえば、次のようなケースです。
・遺言書により不動産を取得する相続人が決まっている
・遺産分割協議が成立している
・法定相続分による相続登記を進める方針が決まっている
・売却予定があり、正式な名義変更が必要である
すでに相続登記を申請できる状態であれば、相続人申告登記を先に行う必要性は高くありません。
一方、取得者が決まっていても、戸籍や住所関係の書類収集に時間がかかり、期限内に相続登記を申請することが難しい場合は、相続人申告登記を検討できます。
相続人申告登記は、遺産分割が未了の場合だけに限定された制度ではありません。
相続登記の期限までに正式な手続きができるか確認する
遺産分割や必要書類の準備が期限に間に合わない場合は、相続人申告登記を検討します。
具体的には、次のようなケースが考えられます。
・遺産分割協議がまとまっていない
・相続人が多数いる
・一部の相続人と連絡が取れない
・古い相続で戸籍収集に時間がかかる
・相続が複数回発生している
・必要書類をすぐにそろえられない
・2027年3月31日などの期限が迫っている
相続人申告登記は、単に「簡単だから選ぶ手続き」ではありません。
正式な相続登記を期限内に行うことが難しい場合の義務履行手段として利用するのが基本です。
判断が難しい場合は、札幌の相続登記相談もご確認ください。
相続人申告登記のメリット・デメリット|何が済み、何が残る?

相続人申告登記には、単独で比較的簡易に申出できるメリットがあります。
一方、正式な名義変更にはならず、遺産分割成立後などには改めて相続登記が必要です。
利用するかどうかは、期限だけでなく、売却予定や遺産分割の進み具合も踏まえて判断しましょう。
相続人申告登記のメリット
最大のメリットは、遺産分割が終わっていなくても、自分について基本的な相続登記義務へ対応できることです。
主なメリットは次のとおりです。
・他の相続人の同意を待たず、自分について単独で申出できる
・法定相続人全員と各法定相続分を確定せずに申出できる
・正式な相続登記より必要書類を抑えられる場合がある
・遺産分割が未了でも利用できる
・登録免許税がかからない
・窓口・郵送・オンラインから申出方法を選べる
・複数の相続人が連名で申し出ることもできる
複数の相続人が連名で申出書を作成・提出する場合、相続人同士の委任状は不要です。
ただし、親や兄弟姉妹が申出人となる場合などは、先順位の相続人がいないことを示すため、必要な戸籍が多くなることがあります。
相続人申告登記のデメリット・注意点
相続人申告登記だけでは、不動産の名義変更や売却準備は完了しません。
主な注意点は以下のとおりです。
・不動産の名義は亡くなった人のまま
・申出人の所有権や相続持分は登記されない
・原則として申出人本人についてのみ義務を履行したものとみなされる
・不動産を売却するには正式な相続登記が必要
・抵当権を設定する場合も正式な相続登記が必要
・遺産分割成立後は改めて相続登記を行う必要がある
・結果として二度の手続きになる場合がある
・申出人の氏名・住所等が登記記録へ付記される
申出人の氏名・住所等が登記記録に記載されても、申出人が不動産の所有者として登記されたことにはなりません。
相続人申告登記は、仮の名義変更や簡易な所有権移転登記ではないため注意しましょう。
相続人申告登記の期限は死亡日から一律3年ではない|自分の期限を確認する

相続登記の期限は、亡くなった日から一律に3年ではありません。
原則として、自分のために相続が開始したことと、その不動産の所有権を取得したことを知った日が起算点です。
義務化前の相続や、遺産分割成立後には別の期限が関係するため、自分がどのケースに該当するか確認しましょう。
| 状況 | 基本となる期限 |
|---|---|
| 2024年4月1日以後に不動産を相続したことを知った | 知った日から3年以内 |
| 2024年4月1日より前から未登記の不動産の相続を知っていた | 原則2027年3月31日まで |
| 2024年4月1日以後に過去の相続不動産を初めて知った | 知った日から3年以内 |
| 遺産分割によって不動産を取得した | 遺産分割の日から3年以内に正式な相続登記 |
スワイプできます
2024年4月1日以後に不動産を相続したことを知った場合
2024年4月1日以後に、自分のために相続が開始したことと、不動産の所有権を取得したことを知った場合は、その知った日から3年以内が原則です。
死亡を知った日と、不動産の存在を知った日が異なるなど、起算日の判断が複雑になる場合があります。
法務局では期限に関する一般的な制度や手続きを確認できます。
いつ不動産取得を知ったかなど、個別の事実関係を踏まえた判断が必要な場合は、司法書士または弁護士へ相談しましょう。
2024年4月1日より前の相続が未登記の場合
相続登記が未了であれば、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象です。
施行前から相続の開始と不動産取得を知っていた場合は、原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。
たとえば、次のようなケースです。
・10年前に亡くなった父名義の実家
・祖父名義のまま残っている土地
・遺産分割は済んだものの名義変更をしていない不動産
・長期間使っていない山林や農地
ただし、2024年4月1日以後に初めてその不動産を相続したことを知った場合は、知った日から3年以内が期限になります。
すべての古い相続が一律に2027年3月31日までではありません。
期限を過ぎると10万円以下の過料の対象になる可能性がある
正当な理由なく相続登記の申請義務を怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
期限を過ぎた時点で、自動的に10万円の過料が科されるわけではありません。法務省では、義務違反を把握した登記官が相当の期間を定めて申請を催告し、それでも正当な理由なく対応しなかった場合に、裁判所へ通知する仕組みとしています。
正当な理由になり得る事情としては、相続人が極めて多い場合、遺言の有効性や遺産の範囲が争われている場合、重病、DV被害、経済的困窮などが示されています。実際に正当な理由に該当するかは個別事情によって判断されます。
すでに期限を過ぎている場合は、未履行なのが相続開始後の基本的義務か、遺産分割成立後の追加的義務かを確認することが重要です。
基本的義務について正式な相続登記が難しい場合は相続人申告登記を検討できますが、遺産分割成立後の追加的義務は、相続人申告登記では履行できません。
申出前に故人名義の不動産と申出する相続人を整理する

必要書類を集める前に、「どの不動産について」「誰が申し出るのか」を整理しましょう。
申出人と対象不動産の組み合わせによって対応状況は異なります。
一覧表を作っておくと、土地・建物や他の相続人の申出漏れを確認しやすくなります。
故人名義の不動産を漏れなく確認する
自宅だけでなく、遠方の土地や共有持分も含めて確認することが重要です。
確認対象の例は次のとおりです。
・自宅の土地・建物
・私道の共有持分
・駐車場
・賃貸物件
・農地
・山林
・別荘
・遠方の土地・建物
・親族や第三者との共有不動産
故人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を把握できない場合は、2026年2月2日に始まった所有不動産記録証明制度を利用する方法があります。
制度では、亡くなった人が所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧化した証明書を、一定の相続人等が請求できます。法務省の「所有不動産記録証明制度について」で最新情報を確認できます。
2026年8月時点の主な手数料は次のとおりです。
・書面請求:1,600円
・オンライン請求・郵送交付:1,500円
・オンライン請求・窓口交付:1,470円
旧住所などを複数の検索条件として指定すると、検索条件の数と請求通数に応じて手数料が増えます。
また、登記上の氏名・住所と検索条件が一致しなければ抽出されない場合があり、所有権の登記がない不動産や、登記簿がコンピュータ化されていない不動産などは検索対象外です。
この証明書だけですべての相続不動産を把握できるとは限りません。
誰が相続人申告登記を申し出るか確認する
各相続人は、自分について単独で相続人申告登記を申し出ることができます。
他の相続人全員の同意を得る必要はありません。一方、兄弟3人のうち兄だけが単独で申出をした場合、弟と妹まで義務を履行したことにはならないのが原則です。
複数の相続人が対応する場合には、次の方法があります。
・各相続人が個別に申し出る
・複数の相続人が連名で申し出る
・委任状を作成し、代理人が申し出る
複数の相続人が連名で申出書を作成・提出する場合、相続人同士の委任状は不要です。
代理人へ申出を依頼する場合には、委任状などの代理権限を証する書類が必要になります。
相続人ごと・不動産ごとに申出状況を一覧にする
「相続人×不動産」の管理表を作ると、誰の義務とどの不動産が未対応なのかを確認しやすくなります。
| 不動産 | 現在の名義 | 管轄法務局 | 相続人A | 相続人B | 正式な相続登記 |
|---|---|---|---|---|---|
| 自宅の土地 | 父 | ○○法務局 | 申出済み | 未対応 | 未了 |
| 自宅の建物 | 父 | ○○法務局 | 申出済み | 未対応 | 未了 |
| 遠方の土地 | 父 | △△法務局 | 未対応 | 未対応 | 未了 |
スワイプできます
管理表には、申出日、対象不動産、補正の有無、遺産分割の進捗、正式な相続登記の期限なども記録しておくと管理しやすくなります。
一人の相続人が一つの不動産について申し出ても、他の相続人や他の不動産まで自動的に対応済みにはなりません。
相続人申告登記のやり方|必要書類から申出完了まで

相続人申告登記は、必要書類の確認、申出書の作成、管轄法務局への提出という順番で進めます。
窓口や郵送のほか、Webブラウザを利用したオンライン申出も可能です。
書類の不足や記載誤りがあると補正が必要になるため、提出前に確認しましょう。
・対象不動産と管轄法務局を確認する
・必要な戸籍等を集める
・相続人申出書を作成する
・法務局へ提出する
・不備があれば補正する
・登記記録への付記を確認する
必要書類は申出人と被相続人の関係によって異なる
基本的には、相続人申出書と、申出人が登記名義人の相続人であることを確認できる情報などを準備します。
| 書類・情報 | 確認する内容 | 主な取得・作成先 |
|---|---|---|
| 相続人申出書 | 被相続人・申出人・対象不動産等 | 法務省の様式を使用 |
| 戸籍・除籍等 | 被相続人の死亡と申出人との相続関係 | 市区町村 |
| 申出人の住所を証する情報 | 申出人の現在の住所 | 市区町村等 |
| 被相続人の同一性を示す資料 | 登記名義人と被相続人が同一人物であること | 住民票除票・戸籍附票等 |
| 委任状(代理人が手続きする場合) | 代理権限 | 申出人が作成 |
スワイプできます
子が申出人の場合、一般的には、被相続人の死亡日がわかる戸籍証明書、申出人が被相続人の子であることがわかる戸籍証明書、被相続人の死亡日以後に発行された申出人の戸籍証明書などが必要です。1通の戸籍証明書ですべて確認できるときは、その1通で足ります。
親や兄弟姉妹が申出人となるケースでは、先順位の相続人がいないことを確認するため、必要な戸籍が増える可能性があります。
なお、申出書に住民票上の氏名のふりがなと生年月日を記載した場合は、登記所が住基ネットで住所を確認するため、住所を証する情報の提出を省略できます。国内に住民票がない方は省略できないため、
具体的な取扱いは、法務省の「相続人申告登記について」の最新案内を確認してください。
法定相続情報や電子戸籍パスを利用できる場合もある
法定相続情報一覧図や電子戸籍パスを利用すると、相続関係を示す戸籍証明書の添付に代えられる場合があります。
すでに法定相続情報証明制度を利用している場合は、法定相続情報一覧図の写しを提出したり、法定相続情報番号を申出書に記載したりする方法があります。
ただし、申出人の住所を証する情報や、登記名義人と被相続人の同一性を示す資料、代理申出の委任状まで一律に省略できるわけではありません。
また、戸籍電子証明書提供用識別符号や除籍電子証明書提供用識別符号を利用できる場合があります。
電子戸籍パスは16桁の番号で、有効期間は発行から3か月です。
戸籍電子証明書提供用識別符号はマイナポータル等で取得できますが、転籍前などの除籍電子証明書提供用識別符号はマイナポータルでは取得できません。法務省の「電子戸籍とは」で利用条件を確認しましょう。
相続人申出書を作成する
相続人申出書は、法務省が公開している最新の様式と記載例を使用して作成します。
主な記載項目は以下のとおりです。
・被相続人の氏名
・相続開始年月日
・申出人の住所・氏名
・氏名のふりがな
・生年月日
・連絡先
・添付情報
・提出年月日
・提出先の法務局
・不動産の表示または不動産番号
普段使用している住居表示と、登記記録上の地番・家屋番号は一致しない場合があります。登記事項証明書を確認し、対象不動産を正確に特定しましょう。
なお、「相続人申告登記の申請書」と検索されることもありますが、法務省では「相続人申出書」「申出」という用語が使われています。
不動産所在地を管轄する法務局へ提出する
申出先は、原則として対象不動産の所在地を管轄する法務局です。
| 提出方法 | 向いている人 | 主な注意点 |
|---|---|---|
| 窓口 | 書類を直接提出したい人 | 管轄・受付時間を確認 |
| 郵送 | 管轄法務局が遠い人 | 送付・返却方法を確認 |
| オンライン | 自宅や事務所から進めたい人 | 添付書類・電子署名の要否を確認 |
スワイプできます
オンラインでは、登記・供託オンライン申請システムの「かんたん登記・供託申請」を利用できます。
相続人申告登記のオンライン申出は電子署名が基本的に不要ですが、司法書士が申出を行う場合は電子署名が必要です。
また、代理人が申し出る場合には委任状などの代理権限を証する書類が必要になります。
戸籍等を電子情報として添付できない場合には、オンライン送信後に書面を郵送・持参することがあります。
そのため、オンライン申出でも必ずしもすべての手続きがオンラインだけで完結するとは限りません。
登録免許税はかからないが、書類取得費などは必要
相続人申告登記には登録免許税がかかりません。
ただし、手続き全体が完全に無料というわけではありません。
| 費用項目 | 費用の考え方 |
|---|---|
| 登録免許税 | かからない |
| 戸籍・除籍等 | 市区町村所定の取得手数料 |
| 住民票・戸籍附票等 | 市区町村所定の取得手数料 |
| 登記事項証明書 | 法務局所定の手数料 |
| 郵送費 | 申出書・添付書類等の送料 |
| 司法書士報酬 | 依頼内容等によって異なる |
スワイプできます
司法書士報酬は一律ではありません。戸籍収集を含むか、不動産や相続人が何人いるかなどによって変わるため、依頼前に業務範囲と見積額を確認しましょう。
申出が完了したら登記内容を確認する
申出後は、対象不動産と申出人が正しく登記記録へ付記されたかを確認しましょう。
必要に応じて登記事項証明書や登記情報を取得し、次の点を確認します。
・対象とした土地・建物が合っているか
・申出人の氏名・住所等が付記されているか
・対象不動産に漏れがないか
相続人申告登記は所有権移転登記ではないため、申出人を所有者とする登記識別情報、いわゆる権利証が通知される手続きではありません。
申出書の控えや法務局から返却された書類は、今後の相続手続きに備えて保管しておきましょう。
相続人申告登記をした後も必要な手続きを確認する

相続人申告登記を行っただけで、すべての相続手続きが完了するわけではありません。
特に、相続人申告登記後に遺産分割が成立した場合は、その日から3年以内に遺産分割の内容を反映した正式な相続登記が必要です。
売却や担保設定を予定している場合も、相続登記まで進める必要があります。
遺産分割が成立したら3年以内に正式な相続登記をする
遺産分割によって不動産を取得した相続人は、遺産分割の日から3年以内に、その内容に沿った相続登記を申請する必要があります。
相続人申告登記で履行できるのは、相続開始後の基本的な申請義務です。遺産分割成立後の追加的義務は、相続人申告登記では履行できません。
相続開始 → 相続人申告登記 → 遺産分割成立 → 遺産分割の日から3年以内に正式な相続登記
売却・担保設定をするなら正式な相続登記が必要
相続人申告登記だけでは、買主への所有権移転登記や金融機関の抵当権設定登記まで進められません。
不動産を売却する場合は、通常、亡くなった人から不動産を取得した相続人への相続登記を行ったうえで、買主への所有権移転登記を進めます。
他の相続人・他の不動産の申出漏れも確認する
自分の申出が終わっても、家族全体や他の不動産の対応まで完了したとは限りません。
次の項目を再確認しましょう。
・他の相続人も必要な対応をしているか
・土地と建物の両方を確認したか
・私道持分や共有持分が漏れていないか
・遠方の土地・山林などが残っていないか
・管轄が異なる不動産がないか
・遺産分割成立後の相続登記期限を管理しているか
・正式な相続登記を誰が進めるか決めているか
前述の管理表を更新し、相続人申告登記と正式な相続登記を分けて管理すると分かりやすくなります。
相続人申告登記の書類や判断が複雑になりやすいケース

古い相続や数次相続では、一般的な必要書類一覧だけで判断できない場合があります。
登記上の住所と戸籍上の情報がつながらない場合や、相続人間に争いがある場合も注意が必要です。
相続人申告登記で対応できる問題と、遺産分割・相続放棄など別の手続きで解決すべき問題を分けて考えましょう。
名義が数世代前のまま・数次相続になっている場合
祖父や曾祖父の名義のままになっている不動産では、数次相続が発生している可能性があります。
数次相続とは、最初の相続手続きが終わる前に相続人が亡くなり、次の相続が発生している状態です。
たとえば、祖父名義の土地について、祖父の相続人である父も亡くなっている場合、祖父から父、父から現在の相続人への関係を戸籍等で確認する必要があります。
数次相続でも相続人申告登記を利用できる場合がありますが、申出人との相続関係を確認する書類が増え、判断が複雑になるケースがあります。
登記上の住所・氏名と死亡時の情報が異なる場合
登記上の住所・氏名と戸籍や死亡時の情報が異なる場合は、同一人物であることを示す追加資料が必要になることがあります。
たとえば、次のような書類です。
・住民票の除票
・戸籍の附票
・除かれた戸籍の附票
・氏名変更の経緯が確認できる戸籍
・その他、登記名義人と被相続人の同一性を示す資料
古い登記では、転居前の住所や旧姓が記録されている場合があります。
必要書類は個別事情によって変わるため、登記記録と戸籍等のつながりを確認できないときは、法務局で一般的な手続きを確認したうえで、司法書士へ相談しましょう。
相続人と連絡が取れない・相続放棄や遺産分割でもめている場合
相続人申告登記は、遺産分割の争いや相続放棄の問題を解決する制度ではありません。
一部の相続人と連絡が取れない場合でも、自分について単独で相続人申告登記を申し出ることは可能です。一方、次の問題は別途対応が必要になります。
・誰が不動産を取得するか
・遺産分割の条件
・遺言書の有効性
・相続財産や債務の範囲
・相続人同士の交渉
・相続放棄をするかどうか
特に相続放棄は、原則として、自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。裁判所の「相続の放棄の申述」で、期限や申述先を確認できます。
自分で判断が難しい場合は法務局・司法書士・弁護士を使い分ける
法務局・司法書士・弁護士では、確認・依頼できる内容が異なります。
| 相談先 | 主な相談内容 |
|---|---|
| 法務局 | 申出書の様式、提出先、一般的な必要書類、手続方法 |
| 司法書士 | 相続人申告登記・相続登記の代理、登記書類の作成、戸籍収集、登記に関する相談 |
| 弁護士 | 遺産分割の争い、相続人との交渉、遺言の有効性などの紛争対応 |
スワイプできます
法務局では一般的な登記手続きを確認できますが、個別の法律判断や相続人間の交渉を行う窓口ではありません。
また、法務省の「相続登記の申請義務化特設ページ」では、権利に関する登記について、業務として申請代理や法務局提出書類の作成、相談対応を行う専門家として司法書士・弁護士が示されています。
札幌で相談先を探している方は、札幌の相続無料相談をご確認ください。
相続人申告登記に関するよくある質問

相続人申告登記の単独申出、オンライン手続き、申出後の相続登記、期限について、特に迷いやすい点をまとめます。
相続人全員の同意は必要ですか?一人が申し出れば全員分になりますか?
他の相続人の同意がなくても、自分については原則として単独で申し出られます。ただし、一人の申出で相続人全員の義務が完了するわけではありません。
たとえば、兄弟3人のうち兄だけが単独で申し出た場合、相続登記の基本的な申請義務を履行したものとみなされるのは、原則として兄本人です。弟や妹まで自動的に対応済みにはなりません。
複数の相続人が同時に対応する場合は、連名で申し出る方法や、委任状を用意して代理人から申し出る方法があります。法務省の「相続人申告登記について」で、申出方法や必要書類を確認できます。
相続人申告登記は自分で・オンラインでできますか?
はい。相続人本人が自分で申し出ることができ、オンライン手続きにも対応しています。
申出方法は、法務局の窓口、郵送、オンラインの3つです。オンラインでは、登記・供託オンライン申請システムの「かんたん登記・供託申請」を利用できます。
オンライン申出では、申出書への電子署名は基本的に不要です。ただし、司法書士が申出を行う場合は電子署名が必要となります。また、代理人が申し出る場合には、委任状などの代理権限を証する書類も必要です。
戸籍等を書面で提出する場合は、オンライン送信後に法務局へ郵送または持参することがあります。利用する証明情報によっては、すべての手続きがオンラインだけで完結するとは限りません。
数次相続、兄弟姉妹・甥姪の相続、複数の不動産、登記上の住所の不一致などがある場合は、必要書類の判断が複雑になることがあります。
相続人申告登記をすれば、正式な相続登記をせずに不動産を売却できますか?
いいえ。相続人申告登記だけで、不動産の売却手続きを完了することはできません。
相続人申告登記をしても、申出人の所有権や相続持分は登記されず、不動産の名義は亡くなった人のままです。
そのため、不動産を売却する場合は、原則として、売却前に不動産を取得した相続人への正式な相続登記を行う必要があります。
また、相続人申告登記後に遺産分割が成立した場合は、不動産を取得した相続人が、遺産分割の日から3年以内に正式な相続登記を申請しなければなりません。
2024年4月1日より前に発生した相続も対象ですか?
はい。相続登記が未了であれば、2024年4月1日より前に発生した相続も義務化の対象です。
2024年4月1日より前から、相続の開始と未登記の不動産を取得したことを知っていた場合は、原則として2027年3月31日が最短期限となります。
一方、2024年4月1日以後に初めて相続不動産の存在を知った場合は、その不動産を相続したことを知った日から3年以内が原則です。
古い相続だから義務化の対象外になるわけではありません。父や祖父名義のまま残っている不動産がある場合は、登記名義と期限を早めに確認しましょう。
相続登記の期限を過ぎてしまったらどうすればよいですか?
期限を過ぎても放置せず、未履行の義務を確認したうえで速やかに対応しましょう。
まず、次のどちらの期限を過ぎているかを確認します。
・相続開始後の基本的な相続登記義務
・遺産分割成立後の追加的な相続登記義務
基本的な義務について、すぐに正式な相続登記を行うことが難しい場合は、期限後であっても相続人申告登記を含めて速やかに対応することが重要です。
一方、遺産分割成立後の追加的な義務は、相続人申告登記では履行できません。遺産分割の内容に沿った正式な相続登記が必要です。
正当な理由なく相続登記の義務を怠った場合は、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。ただし、期限を過ぎた時点で、自動的に過料が確定するわけではありません。
まとめ|正式な相続登記が間に合わない場合に相続人申告登記を検討する
相続人申告登記は、期限内に正式な相続登記を行うことが難しい場合に、基本的な申請義務へ対応するための制度です。
ただし、所有権や持分を登記する制度ではありません。申出後も、遺産分割や不動産の利用予定に応じて必要な相続登記を確認しましょう。
重要なポイントは次のとおりです。
・相続人申告登記は2024年4月1日に開始
・正式な相続登記を進められる場合は、原則として相続登記を優先
・遺産分割が未了でも、自分について単独で申出できる
・登録免許税はかからない
・不動産の名義変更や持分の登記にはならない
・原則として申出人本人についてのみ基本的義務を履行したものとみなされる
・遺産分割成立後は、その日から3年以内に正式な相続登記が必要
・義務化前から未登記の相続を知っていた場合、2027年3月31日が最短期限
・相続放棄を検討している場合は、原則3か月の期限を先に確認
・オンライン申出の電子署名は基本的に不要だが、司法書士が申出を行う場合は必要
相続人が多い場合、名義が数世代前のままの場合、故人名義の不動産を把握できない場合などは、必要書類や期限の判断が複雑になることがあります。
期限直前まで放置せず、正式な相続登記へ進むのか、相続人申告登記を利用するのかを早めに整理しましょう。
札幌で相続人申告登記と正式な相続登記のどちらを選ぶべきか迷っている方は、お気軽にお問い合わせください。
相続のお悩みや、ご相談 はわたしたちに お任せください!
相続のお悩みや、 ご相談は わたしたちに お任せください!
無料相談
受付中